【サービスシューズ特集】現代のブーツブランドが作るおすすめサービスシューズ4選

式典から日常へ、海軍が生んだ革靴の傑作

アイテム起源・歴史

サービスシューズの起源は、1940年代のアメリカ海軍に遡る。軍の式典や正装時に着用するドレスシューズとして、兵士たちに支給されたことから「サービス(支給された)シューズ」と呼ばれるようになった。陸軍や空軍にも同様のシューズは存在したが、デザイン性と機能性の高さから、海軍のモデルが最も評価され、現在まで愛され続けている。

1940年代初期のモデルは、カカトにT字型の革パッチが施され、6対の隠しハトメを持つ。レザーソールを採用し、羽根部分はダブルステッチで縫い留められる繊細な作りだった。1960年代に入るとステッチがシングルになり、ソールもラバーへと変化。革質もスムースレザーからガラスレザーへと移行し、より実用的な仕様へと進化を遂げた。1990年代まで生産が続けられたが、現在は製造終了。ヴィンテージ市場では価格が高騰し、入手困難なアイテムとなっている。

アイテム紹介

サービスシューズは、ミリタリーとドレスが融合した稀有な存在だ。プレーントゥの外羽根式というシンプルなデザインながら、式典で履かれた品格を纏う。今回紹介するのは、ヴィンテージの魂を受け継ぎながら、現代の技術で復刻された4足。すべて日本製で、職人の手仕事が光る逸品ばかりだ。

デニムにもチノパンにもスラックスにも合う万能性、幅広で日本人の足にフィットするミリタリーラスト、そして履き込むほどに現れる経年変化。サービスシューズは、革靴の入り口として、そしてアメカジスタイルの完成形として、これ以上ない選択といえる。そして玄人が選ぶのは、歴史を理解した上で作られた現行モデルだ。

アイテム①:BILTBUCK Lot.672 Service Shoes -Black-

1940年代の気品を纏う、ATTRACTIONSの傑作

アイテム詳細

販売元/ブランド名: BILTBUCK(ビルトバック)by ATTRACTIONS

金額: 公式サイトでご確認ください

素材: フランス産原皮カーフスキン(エンボス+揉みシボ加工)

特徴:

ATTRACTIONSが手掛けるBILTBUCKのLot.672は、1940年代のサービスシューズを忠実に再現したオーセンティック・オフィサーシューズだ。ブルッチャー、T字型バックステイ、ウェルトのホイーリング、クローエッジ仕上げという、当時の格式高いディテールをすべて搭載している。

アッパーには、フランス産原皮の高品質カーフスキンに細かいエンボスを施し、揉みシボ加工で仕上げたオリジナルレザーを採用。この特別な加工により、使い込むほどに独特の表情が生まれる。ソールは最高級イタリア製オークバークソールで、耐久性と履き心地の良さを両立させた。

木型は1940年代のサービスシューズを再現した専用の「A014 Officer Last」。オフィサー(士官)の名にふさわしい、エレガントで品格あるフォルムを実現している。製法はグッドイヤーウェルトを採用し、末長く愛用できる設計だ。

BILTBUCKのサービスシューズは、ディテールへのこだわりが半端じゃないです。T字バックステイやクローエッジ仕上げなど、当時の士官靴の品格をしっかり再現している点が素晴らしい。フランス産カーフの質感も申し分なく、履いた瞬間に「これは本物だ」と感じさせてくれます。価格は高めですが、一生モノとして考えれば納得の仕上がりです!

アイテム②:JELADO U.S.N 41 Service Shoes

1941年製ネイビーラストが蘇る、究極の復刻

アイテム詳細

販売元/ブランド名: JELADO(ジェラード)

金額: 公式サイトでご確認ください

素材: 茶芯キップガラスレザー

特徴:

JELADOが所有する1940年代のヴィンテージサービスシューズを開発ベースとし、The 2 Monkeysの鈴木氏が所有していた1941年製のネイビーラストを複製して使用した、まさに究極の復刻モデルだ。

アッパーは、滑らかで美しい艶を持つ茶芯のキップガラスレザーで再現。初期型の特徴である、わずかに尖ったつま先、6対の隠しハトメ、カカトに付くT字型の市革など、1940年代ならではのディテールを忠実に再現している。

ソールは当時に合わせてレザーソールとし、踏みつけ部には滑り止めラバーシートを貼ることで実用性を高めた。腰裏の印字、ソールの刻印なども含め、1940年代のサービスシューズの姿をできる限り再現している。

チノやデニムにも、ドレススタイルにも幅広くコーディネート可能な、まさにユニバーサルな革靴。アメリカ海軍の下士官が制服に合わせて履いた黒革のサービスシューズは、シンプルにして美しく、機能的で無駄がない、革靴の最も完成された姿のひとつだ。

ヴィンテージコレクターが本気で作ったサービスシューズです。1941年製のネイビーラストを複製という時点で、もう勝ちが決まってますね。茶芯キップガラスの質感も素晴らしく、履き込むほどに茶色の芯が見えてくる経年変化が楽しめます。ヴィンテージが買えないなら、これを選べば間違いないです!

アイテム③:Makers HORSE SINGLE

一枚仕立てが生む、馬革の躍動感

アイテム詳細

販売元/ブランド名: Makers(メイカーズ)

金額: 公式サイトでご確認ください

素材: イタリアンホースバット(茶芯)

特徴:

Makersの「HORSE SINGLE」は、イタリアンホースバットを使用した一枚仕立てで仕上げたシンプルな外羽根式シューズだ。このシューズで使用しているホースバットレザーは、履き込むほどに馬革特有のヴィンテージ感溢れる表情となる。

一枚仕立ての最大の魅力は、折込部全てをさらに漉くことで、接合部の段差を極力なくしている点だ。これにより、滑らかな履き心地と美しいフォルムを実現している。6ホール仕上げのシンプルなデザインは、サービスシューズの本質を体現している。

製法にはグッドイヤーウェルテッド製法を採用。アウトソールにはオイルベンズを使用し、ヒールミッドは1枚のベンズにBIRTRITEゴムソールを装着。シンプルかつヴィンテージクラシックな雰囲気を持つアウトソール仕様だ。インソールにはブランドネームが入り、爪先部の内側には吸湿性に優れたコットンヘリンボーンファブリックを使用するなど、細部まで配慮が行き届いている。

ワイズはE、日本製の確かな品質。履き込むほどに自分の一部になり、他に代えがたい一足になる。

一枚仕立てのホースバットという時点で、もう反則級のアイテムです。馬革特有のシワの入り方や、茶芯が覗く経年変化は、牛革では味わえない独特の魅力があります。BIRTRITEソールの実用性も高く、ガシガシ履けるのもポイント。ヴィンテージ感を求めるなら、このHORSE SINGLEが最適解です!

アイテム④:BROTHER BRIDGE NEIL

日本人の足に最適化された、浅草の誇り

アイテム詳細

販売元/ブランド名: BROTHER BRIDGE(ブラザーブリッジ)

金額: 公式サイトでご確認ください

素材: オランダ産ダッチカーフ(姫路タンニン鞣し)

特徴:

浅草を拠点とするBROTHER BRIDGEが、1940年代のミリタリーラストを再構築して生み出した「NEIL(ニール)」。この木型を彼らは「オフィサーラスト」と呼ぶ。大人のワードローブに欠かせない正統派な一足として、3年以上の開発期間を費やして完成させた。

最大の特徴は、日本人の自然な履き心地を追求した理想的な木型だ。一般的な木型に比べ、センターラインを内側に設計し肉付け、外側は削ることで自然な履き心地を実現。丸みを帯びた踵の形状は、ホールド感を高め、歩行をサポートする。

素材は、世界有数の上質なオランダ産原皮を、老舗姫路タンナーにてオリジナルレシピで鞣した高品質のカーフ。高品質な原皮にタンニン鞣しを施し、オイルと染料のみで仕上げたカーフは美しい経年変化が楽しめる。肌目の詰まったタンニン鞣しは、高い技術の表れだ。

製法はフレキシブルグッドイヤー製法を採用。チノパンでも、スラックスでも、501でも合う万能な一足。モデル名は、海軍飛行士でありアポロへ月面着陸に成功した英雄、ニール・アームストロングより命名された。

BROTHER BRIDGEの木型設計は、本当に日本人の足に合います。欧米ブランドで「なんとなく合わない」と感じていた方は、ぜひ試してほしい。オランダ産カーフを姫路で鞣すという、まさに日欧の良いとこ取り。ニール・アームストロングという命名も粋です。浅草の職人技が詰まった、日本人のための最強サービスシューズです!

購入・選び方のアドバイス

サービスシューズを選ぶ際、最も重要なのはラストの相性だ。ミリタリーラストは幅広で日本人の足に合いやすいとされるが、ブランドによって微妙に形状が異なる。可能であれば店頭で試着し、土踏まずのフィット感、カカトのホールド感を確認したい。

サイズ選びは、革靴の基本通りジャストサイズを選ぶのがセオリーだ。革は履き込むことで伸びて馴染むため、最初は少しキツイくらいが丁度良い。特にホースレザーは伸びやすい性質を持つため、ワンサイズ下げることも検討したい。

ソールはレザーとラバーで選択が分かれる。レザーソールはヴィンテージ感があり経年変化を楽しめるが、雨天時は滑りやすい。ラバーソールは実用性が高く、天候を気にせずガシガシ履ける。普段使いならラバー、特別な日用ならレザーという使い分けも一つの手だ。

素材は、カーフ、ホースバット、ガラスレザーと様々。カーフは柔らかく馴染みやすい、ホースバットは独特の経年変化を楽しめる、ガラスレザーは手入れが楽で光沢が美しい。自分がどんな履き方をしたいかで選ぶといい。

手入れは、基本的なブラッシングと定期的なクリーム保湿で十分。ガラスレザーの場合は専用のケア方法があるため注意が必要だ。グッドイヤーウェルト製法なら、ソール交換も可能。10年、20年と履き続けることを前提に、丁寧に育てていきたい。

まとめ:すべてのアイテムに宿るロマン

サービスシューズは、アメリカ海軍の式典靴として生まれ、今や世界中のファッション好きを魅了する存在となった。そして日本の職人たちが当時の魂を受け継ぎ、現代の技術で蘇らせている。

BILTBUCK、JELADO、Makers、BROTHER BRIDGE、それぞれが異なるアプローチで、1940年代のサービスシューズを再現している。フランス産カーフ、1941年製ネイビーラスト、イタリアンホースバット、オランダ産原皮、素材へのこだわりも、製法への敬意も、すべては「本物」を追求する姿勢から生まれている。

シンプルな外羽根プレーントゥというデザインだからこそ、ディテールの一つ一つに意味がある。T字型バックステイ、6ホールの隠しハトメ、ダブルステッチ、これらはすべて、当時の軍用靴が持っていた機能と美学の証だ。

デニムにも、チノパンにも、スラックスにも合う万能性。幅広で日本人の足にフィットするミリタリーラスト。履き込むほどに自分の足に馴染み、経年変化を楽しめる革質。サービスシューズは、革靴の入り口として、そしてアメカジスタイルの完成形として、これ以上ない選択だ。

ヴィンテージが手に入らない今だからこそ、歴史を理解し、当時の製法を尊重した現行モデルに価値がある。日本の職人たちが作るサービスシューズは、もはやレプリカではない。それは、アメリカの伝統を受け継ぎながら、日本の技術で昇華させた、新たなスタンダードだ。

さあ、一足手に取ってみよう。その瞬間から、1940年代のアメリカ海軍が纏っていた品格が、あなたの足元を飾る。

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